お知らせ

トラック運転手の改善基準告示見直しに向けた議論が行われました(2022/5/20)

5月19日、第5回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会が開催され、トラック運転手の改善基準告示見直しに向けた議論が行われました。

資料によれば、現行の基準に対して次のような意見が示されています。

【拘束時間】
現行:1カ月の拘束時間は293時間を超えないものとする。ただし、労使協定により年間6カ月までは年3,516時間を超えない範囲内で1カ月の拘束時間を320時間まで延長可能。
意見:(労働者側)1カ月の拘束時間は275時間とし、年3,300時間を超えない範囲で年6回を限度に294時間まで延長するよう見直してはどうか。
   (使用者側)1カ月の拘束時間は293時間を維持し、年3,408時間を超えない範囲で年6回を限度に320時間まで延長するよう見直してはどうか。

【1日の拘束時間、休息期間】
現行:1日の拘束時間は13時間を超えないものとし、延長する場合でも最大拘束時間は16時間。この場合、1日15時間超の回数は1週2回以内とする。
意見:(労働者側)1日の休息期間はバスやタクシーと同様、11時間を中心に検討すべきではないか。
   (使用者側)1日の拘束時間13時間(最大16時間)とし、休息期間8時間の現行維持としてはどうか。また、例えば宿泊を伴う運行は1日の最大拘束時間18時間とし、休息期間を11時間と設定する等、運行実態に応じた見直しの検討も必要。

【運転時間、連続運転時間】
現行:運転時間は、2日を平均し1日当たり9時間、2週平均で1週間当たり44時間を超えないものとする。
   連続運転時間は、4時間を超えないものとする。
意見:(労働者側)運転時間および連続運転時間は、現行どおりとすべき。
   (使用者側)拘束時間や休息期間を定めるのであれば、運転時間は廃止すべき。連続運転時間は5時間に緩和すべきではないか。運転離脱も、ドライバーがメリハリをつけられるように5分に緩和するのが妥当。

【特例】
休息期間の分割
現行:勤務終了後継続8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合、当分の間、一定期間(原則2週間から4週間程度とし、2カ月程度が限度)における全勤務回数の2分の1を限度に休息期間を拘束時間の途中および拘束時間の経過直後に分割して与えることができる(2分割に限らず、3分割も認められる)。この場合、分割された休息期間は1日に1回当たり継続4時間以上、合計10時間以上でなければならない。
意見:(労働者側)バスと同様の見直しを行うべきではないか。
   (使用者側)分割する休息の単位を2時間もしくは3時間、合計休息期間の時間を8時間に緩和してもらいたい。また、全勤務回数の2分の1を限度とする制限は外して緩和してもらいたい。

2人乗務
現行:最大拘束時間を20時間まで延長可能。休息期間は4時間まで短縮可能。
意見:(使用者側)基本的には現行どおりと考えるが、車両内にベッドがあってドライバーがしっかり休めるような状況であれば、走行中に車両内ベッドで休んでいる時間も休息期間として取り扱うなど緩和してもらいたい。

隔日勤務
現行:2暦日における拘束時間は21時間を超えないものとする。ただし、事業場内仮眠施設等で夜間に4時間以上の仮眠時間を与える場合には、2週間に3回を限度に、2暦日における拘束時間を24時間を超えない範囲で延長可能。この場合も2週間における総拘束時間は126時間(21時間×6勤務)を超えることができない。
意見:(使用者側)現行どおりが妥当。

フェリー乗船
現行:乗船時間は、原則として休息期間として取り扱う。休息期間の時間からフェリー乗船中の休息期間を減ずることができるが、減算後の休息期間はフェリー下船時刻から勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ってはならないものとする。
意見:(使用者側)駐車場で休んでいる時間も休息期間として取り扱うよう、緩和して
もらいたい。

【適用除外業務】
現行:災害対策基本法等に基づき、都道府県公安委員会から緊急通行車両であることの確認、標章および証明書の交付を受けて行う緊急輸送の業務等
意見:(労働者側)荷主都合による遅延を例外的な取扱いとすると、規制が骨抜きとなってしまうので賛成できない。
   (使用者側)災害や事故と同様、荷主都合による遅延も、拘束時間や運転時間等の規制から外していただきたい。日報に書き込んだ荷待ち時間をもとに例外的な取扱いを認める運用を検討してもらいたい。

【休日労働】
現行:2週間に1回を超えないものとする。

見直しにあたっては、時間外労働時間の上限規制や脳・心臓疾患の労災認定基準のほか、働き方改革関連法の附帯決議において次のことが求められていることを踏まえて検討が行われます。

・過労死等防止の観点から総拘束時間等の改善を行うこと
・早朝・深夜の勤務、交代制勤務、宿泊を伴う勤務など多様な勤務実態や危険物の配送などその業務の特性を十分に踏まえて検討し、勤務実態等に応じた基準を定めること