お知らせ

年金機能強化法施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令案(概要)のパブリックコメント募集が行われています(2021/5/27)

5月21日、厚生労働省は、令和2年に成立した年金機能強化法施行に伴う関係政令の整備および経過措置に関する政令案(概要)(以下、「案」という)のパブリックコメント募集を開始しました。

同法による主な改正内容には次のような項目がありますが、今回の案は、これらの施行に伴う関係政令の整備や経過措置に関する内容を定めるものです。

 被用者保険の適用拡大
 5人以上の個人事業所に係る適用業種の追加
 在職時改定の導入 
 在職老齢年金の見直し
 受給開始時期の選択肢の拡大
 加給年金の支給停止規定の見直し
 確定拠出年金の加入可能要件の見直し


案では、次のように示されています。

1 被用者保険の適用拡大
特別支給の老齢厚生年金定額部分受給権者の働き方に変更がないにもかかわらず、定額部分が支給停止されないよう、施行日前に支給事由の生じた受給権者が、改正法施行により施行日に厚生年金保険の被保険者資格を取得し、施行日前から引き続き同一事業所に勤務している場合は、定額部分の支給停止を行わないこととする経過措置を設ける
企業規模要件の見直しにより、標準報酬の比較的低い短時間労働者が被保険者総数に占める割合が増加しても、再評価率の改定等に用いる賃金変動率が押し下げられ、年金額にマイナス影響が及ばないよう、標準報酬の平均額の算定方法を定める規定の読替え規定を設ける

2 5人以上の個人事業所に係る適用業種の追加
公証人、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、海事代理士、税理士、社会保険労務士、沖縄弁護士、外国法事務弁護士および弁理士を対象士業として規定する

3 在職時改定の導入
老齢厚生年金の計算の基礎となる被保険者期間の月数が在職定時改定により240月以上となる場合も、その時点の生計維持関係に応じて加給年金額が加算されることとする等、所要の規定の整備を行うほか、関係政令について在職定時改定の導入と同様の措置、同趣旨の改正等を行う

4 在職老齢年金の見直し
低在老の支給停止調整変更額(令和3年度額28万円)の改定を定めた規定を削除する等、所要の規定の整備を行うほか、関係政令についてと同様の措置等を行う

5 受給開始時期の選択肢の拡大
繰下げ増額率の計算の基礎となる繰下げ待機月数の上限について、現行の60月(5年分)から120月(10年分)に引き上げる
選択された受給開始時期にかかわらず、数理的に年金財政上中立となるよう、繰上げ受給を選択した場合の繰上げ減額率を現行の0.5%/月から0.4%/月に引き下げる
70歳以降に繰下げ待機していた者が65歳時点からの本来受給を選択した場合、請求の5年前に繰下げ申出があったものとみなして年金を支給する仕組み(以下、「5年前繰下げみなし増額」という)が導入されることに伴い、2以上の種別の被保険者期間に基づく老齢厚生年金の受給権者が繰下げを行う場合の所要の読替え規定を整備する等、所要の規定の整備を行う
上記に加え、関係政令について同様の措置、同趣旨の改正等を行う

6 加給年金の支給停止規定の見直し
配偶者の老齢厚生年金等が一部でも支給されている場合には加給年金が支給さ
れない一方で、配偶者の賃金が高く、在職老齢年金制度の全額が支給停止となっている場合には加給年金が支給されるといった不合理を踏まえ、配偶者が老齢厚生年金等の老齢または退職を支給事由とする給付の受給権を有する場合には、全額支給停止されている場合であっても、加給年金額に相当する部分の支給を停止する

7 確定拠出年金の加入可能要件の見直し
加入可能年齢が引き上げられることに伴い、iDecoについて、国民年金任意加入被保険者の各月の拠出限度額を6.8万円とする等の所要の改正を行う
企業型DC加入者のiDeco加入の要件緩和がなされることに伴い、企業型DCの事業主掛金の額や各月の拠出限度額等の所要の改正を行う

今後は、令和3年6月下旬に公布された後、改正法の施行に合わせて施行される見通しです。