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デジタル給与解禁に向けた課題の整理が議論されました(2021/2/21)

2月15日、第166回労働政策審議会労働条件分科会にてデジタル給与の解禁(資金移動業者の口座への賃金支払い)をめぐる課題の整理が行われました。

資料によれば、現行のすべての資金移動業者に必要な規制(利用者の保護および資金移動業の適正かつ確実な遂行の観点に基づくもの)に加えて、労働基準法施行規則に基づく規制(「賃金の確実な支払」を担保するための観点に基づくもの)を加える案が示されています。

労働基準法施行規則に基づく規制の例としては、次の3つが挙げられており、これらを労働基準法施行規則において要件化するとされています。

・資金保全:民間保険等による保証
・換金性:適時の換金
・不正引出しの対策・補償 など

また、資金移動業者からの申請に基づき、要件を満たす業者を厚生労働大臣が指定するとの案になっており、一部の資金移動業者のみに限定して資金移動業者の口座への賃金支払いを認める案となっています。

さらに、課題として次の5つが挙げられています。

1 資金保全
 → ・現行の資金決済法の仕組みでは、供託金が還付されるまで約半年かかるが、資金移動業者が破綻した場合には、①十分な額が、②早期に、労働者に支払われる仕組みが必要

2 不正引出し等への対応
 → ・セキュリティ不備による不正引出し等への対策や補償の仕組みが必要

3 換金性
 → ・所定の賃金支払日に換金(出金)できることが必要
    ・手数料や換金の単位についても、検討が必要

4 労働者の同意
 → ・銀行口座等との違いも理解のうえで同意できるようにすることが必要
    ・破綻時の補償の受取方法等、同意の際の確認事項について、銀行口座等と比べて追加することが必要

5 その他
 → ・資金移動業者が賃金支払業務を適正かつ確実に行うことができる体制を有していることを確認できることが必要
    ・賃金支払業務の実施状況等を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有することが必要
    ・企業の賃金支払事務が、確実かつ円滑に行われるようにすることが必要